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住宅ローンを抱えたままFIREしても大丈夫?3パターンでシミュレーションして比較してみた
シミュレーター活用

住宅ローンを抱えたままFIREしても大丈夫?3パターンでシミュレーションして比較してみた

住宅ローンを抱えたままFIREすべきか、繰り上げ返済してから辞めるべきか。資産シミュレーターで3パターン(賃貸継続/ローン残しFIRE/完済後FIRE)を比較し、モンテカルロ法で破綻確率を試算しました。


住宅ローンを抱えたままFIREするのは不安、繰り上げ返済して身軽になってから辞めたい——そう考える人は多いのではないでしょうか。今回はこの疑問を、資産シミュレーターで実際に試算してみました。結論から言うと、今回の試算条件では「ローンを残したままFIREした方が、資産は長持ちする」という結果になりました。

この記事の結論

  • 低金利のローンを残しながら投資を続けた方が、繰り上げ返済を急ぐより資産形成に有利になる場合があります
  • 今回の試算(金利1%・期待利回り年7%(現役期)/4%(FIRE後)・インフレ率2%)では、35年ローンを残したままFIREしたケースの資産枯渇確率が31.8%と、3パターン中もっとも低い結果になりました
  • 逆に、繰り上げ返済で早く完済してからFIREしたケースは、積立期の投資余力が圧迫され、資産枯渇確率が48.2%まで上がりました
  • ただしこれは今回の試算条件に基づく結果です。金利水準やリスク許容度が変われば結論も変わります

住宅ローンは「早く返すべき」と言われる理由

住宅ローンについては、繰り上げ返済で早く完済することを勧める声をよく見聞きします。理由は主に2つです。

1つは利息負担の軽減です。返済期間が短くなれば、支払う利息の総額は減ります。もう1つは精神的な安心感です。収入がなくなった状態で借金を抱えているという状況は、心理的な負担になりやすいという指摘もあります。

一方で、今の日本は歴史的に見れば低金利の状態が続いてきました。投資の期待リターンがローン金利を上回る環境では、「早く返す」ことが本当に最適な選択なのか、資産シミュレーターで確かめてみることにしました。

まずは60秒で、ご自身の資産推移がどうなるかFREENOUGH 資産シミュレーターで試算してみてください。

3パターンで実際にシミュレーションしてみた

今回は、35歳・独身会社員(手取り年収610万円、45歳で800万円に昇給)というプロファイルで、5,500万円のマンション購入を想定し、以下の3パターンを比較しました。いずれもFIRE(退職)年齢は55歳で統一しています。

  • パターン1:賃貸を継続(住宅ローンなし、家賃月15万円が生涯続く)
  • パターン2:35年ローンを残したままFIRE(借入5,500万円・金利1%・年間返済186.31万円、55歳時点で15年の残債があり、70歳まで返済が続く)
  • パターン3:20年ローンで完済してからFIRE(同条件で返済期間を20年に短縮、年間返済303.53万円、55歳=完済とFIREが同時)

固定利回りでの試算結果は次の通りです。

項目 パターン1(賃貸) パターン2(35年ローン) パターン3(20年ローン)
年間住居費/返済額 180万円(生涯) 186.31万円(35〜69歳) 303.53万円(35〜54歳)
55歳時点資産額 12,506万円 13,412万円 8,616万円
90歳時点資産額 82歳で枯渇 14,015万円 4,556万円

固定利回りの計算だけを見ると、パターン2(ローンを残す)が55歳・90歳どちらの時点でも最も資産が多いという結果になりました。ただし、これは平均的な市場を前提にした場合の数字です。実際の市場は年によって大きく変動するため、1,000通りのモンテカルロ・シミュレーションでも確認しました。

項目 パターン1(賃貸) パターン2(35年ローン) パターン3(20年ローン)
モンテカルロ資産枯渇確率(1,000試行) 77.4% 31.8% 48.2%
55歳時点資産(p10/中央値/p90) 6,771万円 / 11,373万円 / 20,268万円 7,317万円 / 12,037万円 / 20,362万円 4,742万円 / 7,848万円 / 14,189万円

35〜90歳の資産推移。パターン1(賃貸)は82歳で資産が尽きる

今回の試算で分かったこと【結論】

なお、今回の3パターンはいずれも、資産シミュレーターの基準(資産が生活費の25倍を上回り、以後生涯下回らない)による厳密なFIRE達成ラインは満たしていません。インフレ率2%を前提にすると、必要な資産ラインも年々上がり続けるためです。そのため、この記事での比較は「FIREできるかどうか」ではなく、**「同じ年齢(55歳)でFIREした場合に、どの条件が資産をもっとも長持ちさせるか」**という観点で行っています。

モンテカルロ・シミュレーション(1,000試行)による資産枯渇確率

その上で注目したいのは、35年ローンを残したままFIREしたパターンの資産枯渇確率が31.8%ともっとも低く、繰り上げ返済で完済してからFIREしたパターン(48.2%)や、そもそも住宅ローンを組まない賃貸継続のパターン(77.4%)よりも、結果として安全な数字になった点です。

このメカニズムは、投資期待リターンとローン金利の差で説明できます。今回の試算では、ローン金利が1%であるのに対し、資産運用の期待リターンは現役期で年7%、FIRE後でも年4%を想定しています。この差がある状況で繰り上げ返済を急ぐと、本来なら複利で運用に回せたはずの元本を、利回りの低いローン返済に振り向けることになります。実際、20年ローンで完済を急いだパターン3は、35〜54歳の積立期に年間303.53万円という高い返済負担がのしかかり、投資に回せる余力が圧迫されました。その結果、55歳時点の資産はパターン2より4,796万円少ない8,616万円にとどまっています。

この結果は、あくまで今回の試算条件(金利1%・想定利回り年7%/4%・インフレ率2%)に基づくものです。金利がさらに上昇した場合や、市場変動へのリスク許容度が低い場合には、結論が変わる可能性があります。「住宅ローンは早く返さない方がいい」と一般化できる話ではなく、「低金利の環境では、繰り上げ返済による安心感と、運用機会を手放すコストを比べて考える価値がある」というのが、今回のシミュレーションから言える範囲です。

自分の場合はどうなるか確認する

住宅ローンの金利・借入額・返済期間はご家庭によって大きく異なります。ローンの有無や返済ペースを変えると資産推移がどう変わるか、FREENOUGH 資産シミュレーターで3分ほどで試算できます。データは保存されず、その場で結果を確認できます。

よくある質問

Q. 繰り上げ返済は絶対にしない方がいいですか?

そうとは言えません。今回の試算は金利1%・想定利回り年4〜7%という条件下での結果です。金利がこれより高い場合や、市場変動へのリスクを避けたい場合は、繰り上げ返済によって固定費を減らす方が安心材料になることもあります。

Q. 住宅ローン控除は考慮されていますか?

今回の試算には含まれていません。住宅ローン控除を考慮すると、実質的な負担はさらに軽くなり、ローンを残す側にやや有利に働く可能性があります。

Q. 金利が上昇したらこの結論は変わりますか?

変わる可能性があります。ローン金利が投資の期待リターンに近づく、あるいは上回る水準になると、繰り上げ返済の相対的なメリットが大きくなります。

Q. 賃貸継続がもっとも資産枯渇確率が高くなったのはなぜですか?

今回の試算では、賃貸の家賃を月15万円(生涯継続)と設定しています。住宅ローンには完済という終わりがある一方、家賃は生涯支払い続ける固定費になるため、長期で見ると総支払額が住宅購入より重くなる場合があります。

まとめ

  • 今回の試算条件では、低金利の住宅ローンを残したままFIREした方が、繰り上げ返済で完済してからFIREするより資産が長持ちするという結果になりました
  • 理由は、投資期待リターンがローン金利を上回る環境で、繰り上げ返済に回す資金が複利運用の機会を失うためです

住宅ローンは「早く返すべき」「残した方が得」と一律に判断できるものではありません。金利・運用利回り・退職年齢・支出によって最適解は変わります。一般論で判断するのではなく、自分の条件でシミュレーションして比較することが、FIRE計画では重要です。

この記事を読んで気になった方へ

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